PRESSRELEASE プレスリリース

第25036号

加工食品の国内市場を調査
― 2031年国内市場予測 ―
■加工食品(19カテゴリー386品目) 24兆8,678億円
市場は緩やかに拡大。付加価値訴求型商品が存在感高める

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、物価高を背景に消費者の価格意識がさらに高まり値ごろ感の強い商品への支持が広がる中、消費者の認知度向上につながる露出増加と訴求力の強化、SNSなどを活用したプロモーションが活発化している加工食品の国内市場を総括・分析した。その結果を「2025年 食品マーケティング便覧 総市場分析編」にまとめた。

この調査では、2024年9月から行った19カテゴリー386品目の加工食品市場についてカテゴリーやチャネルなど要素別の横断的分析、消費者の生活防衛意識が高まる中で台頭するPBの分析、食品業界の中長期予測を行い、業界課題を把握し整理した。

◆調査結果の概要

■加工食品(19カテゴリー386品目)の国内市場

加工食品(19カテゴリー386品目)の国内市場

2024年は、前年に続き価格改定が実施され、商品単価の上昇による市場拡大が予想される。清涼飲料類、アルコール飲料、菓子・スナック菓子、デザートなどの嗜好性の高いカテゴリーでは、コロナ禍が収束し人々の活動が通常化する中で消費者とのタッチポイントが増え、好調な品目が多い。一方、調味料などでは、相次ぐ価格上昇と節約志向の高まりを受けて、より経済性の高い低価格商品やPBなどへの需要シフトが顕著となっている。メーカーの取り組みとしては、新規需要の開拓に向けた価値の向上や訴求力の強化、SNSを活用したプロモーション実施など、消費者へのアプローチ手法が多様化している。

今後も低価格商品と付加価値商品による二極化が一層進み、それぞれのニーズに対応した商品の投入が旺盛に行われるとみられる。人口減少などによって販売量が伸び悩む中で、消費者のニーズを捉えた付加価値訴求型商品が存在感を高めるとともに、原料高に伴う値上げによる商品単価の上昇が続くことで市場は緩やかに拡大し、2031年には24兆8,678億円が予測される。

なお、加工食品市場全体では、物価高、節約志向や価格志向の進行などから消費者の選択眼はより厳しくなる中、価格以外の価値の多様化や高水準化を捉えた需要創出、簡便・省力・個食ニーズに対応したイノベーション、健康機能・ヘルシー素材などを訴求する商品開発、急増するインバウンドや若年層に向けたSNSなどを活用したコミュニケーションの強化などのメーカーによる展開が進んでいくとみられる。

■品目別伸長率ランキング(2024年見込/2019年比)

品目別伸長率ランキング(2024年見込/2019年比)

2024年見込における2019年比の伸長率で、50%以上の伸びが予想されるのは19品目であり、このうち市場規模が2倍以上になるのは4品目である。

伸長率が最も高いのは、オートミールである。コロナ禍の健康意識の高まりにより、豊富な食物繊維、低糖質、栄養バランスの高さがメディアやSNSで話題となり、2020年、2021年と急拡大した。ブームの反動もあり、2022年をピークに市場は縮小しているものの、ユーザーの定着もみられる。

2位の育児用液体ミルクは、2018年に市場が形成され、以降拡大を続けている。育児・介護休業法が改正され、男性の育児参加が増加したことや、外出時や調乳の負担軽減ニーズの大きい夜間などは育児用液体ミルクを使用するなど、育児用調製粉乳と使い分けるエントリーユーザーが増えており、今後も市場拡大が期待される。

3位の麦芽ドリンクは、コロナ禍に消費者によるSNSの発信を機に、鉄分やビタミンDなど栄養素がバランスよく含まれていること注目が集まり、大人の女性の需要を獲得したことで大きく伸びた。2022年以降、伸びは落ちついているものの、価格改定などもありほぼ横ばいの規模を維持している。

4位のセット食品(市販用)は、レンジ調理や湯を注ぐだけといった、簡便性の高さから伸びている。コロナ禍は内食需要の高まりや在宅療養食としての需要を獲得した。2023年は日清食品が「日清カレーメシ」に注力したほか、33種類の栄養素が1食で摂れる手軽さが支持された「完全メシ」が好調で、市場の伸び幅が特に大きかった。2024年も好調であり、2021年以降二桁成長が続くとみられる。

5位のグミキャンディは、2020年にインバウンド需要の消失により縮小したが、新商品発売やブランド認知拡大を図るプロモーションの投下が活発に行われたことで2021年に再び拡大し、ガムからの需要流入やインバウンド需要の回復もあり、好調が続いている。

なお、健康意識の高まりにより栄養成分含有・強化を訴求した商品の需要は根強く、オートミール、麦芽ドリンクのほか、6位:ギリシャヨーグルト、7位:ビネガードリンク(コンク・市販用)、ランク外ながら植物性ヨーグルト、乳製品乳酸菌飲料なども大きく伸長している。

◆調査対象

カテゴリー分類
・菓子・スナック菓子
・デザート
・乳油製品
・育児用食品
・ステープル
・冷凍食品
・チルド調理済食品
・その他調理済食品
・農産加工品
・畜産加工品
・水産加工品
・清涼飲料類
・アルコール飲料
・嗜好品
・調味料
・調味食品
・スープ類
・めん類
・米飯類
総括データ ―加工食品市場の現状と将来展望―
・2031年加工食品市場予測と内外環境変化
・加工食品総市場規模
・カテゴリー別市場分析
・2019年対比市場分析
・品目別マーケットスケールランキング
・用途別分析
・市販用チャネル別分析
・パッケージ動向
・温度帯別分析
・品目別販売額伸長率ランキング

加工食品市場横断分析
・カテゴリー別中長期市場規模推移/予測
・温度帯別市場規模推移/比較分析
・主要チャネル売り場分析
・カテゴリー別企業シェア構造&事業方向性/品目ポートフォリオ分析
・主要カテゴリー別メーカーシェアランキング
・価格志向に対応して拡大するPBの主要カテゴリー分析

食品業界トピックス
・食品業界トピックス/事業分析
・食関連参考データ集
・外食/中食/弁当/給食市場の動向/予測


2025/4/10
上記の内容は弊社独自調査の結果に基づきます。 また、内容は予告なく変更される場合があります。 上記レポートのご購入および内容に関するご質問はお問い合わせフォームをご利用ください、 報道関係者の方は富士経済グループ本社 広報部(TEL 03-3241-3473)までご連絡をお願いいたします。